Kevin's Data Analytics Blog

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職場の同僚たちの34の資質を分析してわかったこと|ストレングスファインダー® 主成分分析

こんにちは。ストレングスファインダー®についてご存じでしょうか。私の所属する部署ではお互いメンバーのことをより深く理解するために、ストレングスファインダー®を活用しています。今回は、職場のメンバーの資質・特徴を分析したところ、面白い結果が得られたので共有したいと思います。

ストレングスファインダー®とは

ストレングスファインダー®は、自分の強みを診断するWebテストです。米国ギャラップ社が開発したもので、200万人以上のインタビュー結果をもとに定義した34の資質の中で、自分が強みとしている資質を知ることができます。177個の質問に答えることで、自分が大切にしている思考や感情を浮き彫りにしていきます。
診断を受けるには、公式サイト*1から申し込みができます。もしくは、ストレングスファインダー®の解説本*2*3に付属のテストコードでも診断することができます。ただし、書籍のテストコードでは、上位5個の資質までしか結果を得られないようです。

ストレングスファインダー®を受けた感想

テストの時間(30分くらい)は、自分の感情と向き合うことが出来る良い機会だと感じました。ただ、質問は日本語で書かれていたのですが、英文を翻訳した日本語の文章によく見られる、ぎこちない表現が多く、質問の意図がわかりづらいものがありました。

診断結果

診断結果として、34の資質を高い順に並べたリストが得られます。(下の表が、私の診断結果です。)それぞれの資質についての解説も付いていますので、自分の強みを理解することができます。

1. 学習欲    11. 達成欲    21. アレンジ   31. 社交性   
2. 分析思考   12. 責任感    22. 収集心    32. 指令性   
3. 調和性    13. 着想     23. 成長促進   33. 戦略性   
4. 公平性    14. 未来志向   24. 回復志向   34. 共感性   
5. 個別化    15. 信念     25. 目標志向  
6. 親密性    16. 自我     26. 活発性   
7. 最上志向   17. 内省     27. 運命思考  
8. 自己確信   18. 規律性    28. コミュニケーション 
9. 原点思考   19. 包含     29. ポジティブ 
10. 慎重さ    20. 適応性    30. 競争性   

ちなみに、34個の項目の並べる時の組み合わせの総数は、34の階乗で、295232799039604140847618609643520000000通りになります。自分と全く同じ結果になった人は世の中には一人もいないと言っても過言ではないレベルです。

解説を読んだ感想

英語の原文を翻訳した文章が読みづらくて頭に入ってこないです。(二回目笑)
以下、一部を抜粋させていただきます。

  • 生まれながらにして、あなたは、自分の仕事からひらめきを得ることを切望することがあるでしょう。
  • おそらくあなたは、あたなの系統だった思考スタイルに価値をおいてくれる人にアドバイスを求められるかもしれません。
  • あなたは本能的に、状況に応じて、一部の人々と親しく、現実的な会話を交わすかもしれません。

このような感じです。私のモヤッとした気持ちが伝わりましたでしょうか。
とはいえ、過去の200万人以上のインタビュー結果から作られた34個の指標をもとにして、人々のタイプを分類する手法は、データ分析者にとって興味深いため、この結果をもう少し深堀りしていこうと思いました。

同僚の診断結果をあわせて見る

データの作成

同僚の結果を1つのシートにまとめました。それぞれのメンバーの資質を左から順に34個並べたものです。名前は伏せていますが、G列が私です。

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結果まとめ

これを数値データに変換して、統計的な手法が使いやすい形にします。

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変換した後のデータ

列を資質に固定して、それぞれのメンバーごとに1番強い資質を「34」、2番目に強い資質を「33」、…という様に数字を入れていきます。私(G行)の場合は、学習意欲の列が「34」になっています。

分析手法

今回は、主成分分析という統計学の手法を使います。主成分分析は、多数の項目を、より少ない項目に要約することができる手法です。主成分分析についての詳しい説明は今回は割愛します。
ここでは、34次元のデータを2次元に圧縮することで、縦軸と横軸の2次元平面上に可視化したいと思います。

2次元への圧縮

主成分分析を適用した結果、34個の項目で構成される各メンバーの特徴をなるべく残したまま、2つの項目(主成分)に圧縮するための変換式が算出できました。

PC1 = 0.288×[戦略性] + 0.276×[着想] + 0.235×[最上志向] + …
   + (-0.318)×[分析思考] + (-0.329)×[回復志向] + (-0.336)×[調和性]
PC2 = 0.404×[適応性] + 0.333×[共感性] + 0.328×[成長促進] + …
   + (-0.169)×[活発性] + (-0.223)×[競争性] + (-0.296)×[達成欲]

[項目名]の中には、それぞれのスコア(34~1)が入ります。
例えば、私の場合、G列のそれぞれのスコアを当てはめて、以下の様に計算できます。

PC1 = &0.288×2 + 0.276×22 + 0.235×28 + …
   + (-0.318)×33 + (-0.329)×11 + (-0.336)×32
  = -27.836
PC2 = 0.404×15 + 0.333×1 + 0.328×12 + …
   + (-0.169)×9 + (-0.223)×5 + (-0.296)×24
  = 7.706

可視化

横軸にPC1のスコア、縦軸にPC2のスコアとすると、全てのメンバーをグラフ上に表示することができます。

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34の資質から生成した2つの主成分の散布図

点の位置が近いメンバーは、この部署において他のメンバーと比較して、持っている資質が似ていると言えます。実際に、私の直感と合っていると感じました。

同僚 グラフ上の点の位置 バックグラウンド 一緒に仕事をする印象
L 近い 私と同様、前職では官公庁向けのシステム開発を経験 仕事を進める上で、気にする観点が共通することが多く、話がスムーズに進むことが多い
D 遠い 前職では、主にコンサルタントとして施策の立案実施を担当 私が思い付かないような発想で、新しいアイディアやアドバイスをもらえる

リーダーに求められる資質

先ほどのグラフに対して、部署の管理職(アシスタントマネージャー以上)のメンバーに印をつけてみました。

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主成分の散布図(役職者に印)

面白いことに、グラフの下半分のエリアに偏っています。Lさんを除いた役職者は全員、PC2の値がマイナスでした。

ここで、改めて、縦軸PC2のスコアを算出するための式を見てみましょう。

PC2 = 0.404×[適応性] + 0.333×[共感性] + 0.328×[成長促進] + …
   + (-0.169)×[活発性] + (-0.223)×[競争性] + (-0.296)×[達成欲]

マイナスの係数がついている資質が強いと、グラフでより下の方に位置することになります。マイナスの係数の絶対値が大きい3つの資質についての説明は次のとおりです。

  • 「活発性」の資質が高い人は、アイデアを実行に移すことにより結果をもたらします。単に話すだけではなく、いますぐ実行することを望みます。
  • 「競争性」の資質が高い人は、自分の進歩を他の人と比較します。コンテストで勝つために、相当な努力をします。
  • 「達成欲」の資質が高い人は、並外れたスタミナがあり、旺盛に仕事に取り組みます。自分が多忙で生産的であることに、大きな満足感を得ます。

これらの項目が、私の所属している部署においてリーダーとして求められる資質であるといえます。今後、これらの項目を強化していくことが、私が現在の部署においてリーダーとして活躍していく上で必要なことだと考えました。

分析手法について

今回の分析のポイントは2点です。

  • メンバーの資質を、強い順に34~1で数値化したこと
  • 主成分分析で34次元のデータを2次元データに変換したこと

これにより、メンバーの特徴をグラフ上を可視化することができました。

ただ、今回の手法では、全ての資質を1刻みで数値化したため、資質の強弱が直線的になっています。そのため、例えば、一番強い資質が一番弱い資質の34倍の強さを持つことになっています。実際には、資質の強弱は人それぞれ異なります。

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資質の強さの数値化イメージ

また、34次元のデータを2次元に変換する際に、どうしても、情報量が落ちてしまいます。

そのため、今回はシンプルなモデルで簡易的に分析してみた、という位置づけになる点、ご留意いただけると助かります。
他に、簡単かつ精緻に分析するアイディアがあれば、是非教えていただけると嬉しいです。

まとめ

ストレングスファインダー®は、自分自身の強みや、周囲の人の特徴を理解する上で、便利なツールだと感じました。みなさんも、職場のメンバーでストレングスファインダー®を受診して結果を分析すると、色々な気づきが得られると思いますので、機会があれば是非試してみてください。
ただ、テスト問題および、結果の解説の日本語のわかりづらさは、勿体ないと感じました。もう少し日本人にとって理解しやすい文章になれば、もっと需要は増えると思います。今後のアップデートに期待したいところです!

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

*1:ストレングスファインダー®公式サイト:https://www.gallup.com/cliftonstrengths/ja/

*2:さあ、才能(じぶん)に目覚めよう 新版 ストレングス・ファインダー2.0

*3:ストレングス・リーダーシップ―さあ、リーダーの才能に目覚めよう