Kevin's Data Analytics Blog

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確率分布の期待値・分散・母関数まとめ~離散分布~

今回は、統計検定1級/準1級の対策として、各確率分布の期待値・分散・母関数について整理しました。

1. 離散一様分布

定義

離散型の確率変数 𝑋 について、全ての事象の起こる確率が等しい分布のこと

確率関数

 P(X=x)=\dfrac{1}{n}

期待値

 E(X)=\dfrac{n+1}{2}

分散

 V(X)=\dfrac{n^{2}-1}{12}

確率母関数

 E(t^{X})=\dfrac{t(1-t^{n})}{n(1-t)}

積率母関数(モーメント母関数)

 E(t^{tX})=\dfrac{e^{t}(1-e^{nt})}{n(1-e^{t})}

2. ベルヌーイ分布

定義

確率変数が 2 つの値(0,1)しか取らない離散確率分布のこと。確率 𝑝 で 1 となり、確率 1−𝑝 で 0 となる。

確率関数

 P(X=x)=p^{x}(1-p)^{1-x}

期待値

 E(X)=p

分散

 V(X)=p(1-p)

確率母関数

 E(t^{X})=1-p+tp

積率母関数(モーメント母関数)

 E(t^{tX})=1-p+pe^{t}

3. 二項分布

定義

確率pのベルヌーイ試行をn回行ったときに、ある事象が何回起こるかを表す確率分布のこと。 ※n=1のとき、ベルヌーイ分布になります。

確率関数

 P(X=x)={}_n C_x p^{x} (1-p)^{n-x}

期待値

 E(X)=np

分散

 V(X)=np(1-p)

確率母関数

 E(t^{X})=(pt+1-p)^{n}

積率母関数(モーメント母関数)

 E(t^{tX})=(pe^{t}+1-p)^{n}

4. ポアソン分布

定義

単位時間あたりに平均 λ 回起こる事象が、単位時間あたりに 何回起こるかを表す確率分布のこと

確率関数

 P(X=x)=e^{-\lambda} \dfrac{\lambda ^x}{x!}

期待値

 E(X)=\lambda

分散

 V(X)=\lambda

確率母関数

 E(t^{X})=e^{\lambda(t-1)}

積率母関数(モーメント母関数)

 E(t^{tX})=e^{\lambda(e^{t}-1)}

5. 超幾何分布

定義

成功状態をもつ母集団から非復元抽出したときに成功状態がいくつあるかという確率を与える離散確率分布の一種である。(引用:Wikipedia

確率関数

 P(X=x)= \dfrac{{}_M C_x \cdot {}_{N-M} C_{n-x}} {{}_N C_n}

期待値

 E(X)= n\dfrac{M}{N}

分散

 V(X)= n\dfrac{M}{N}\biggl(\dfrac{(N-n)(N-M)}{N(N-1)}\biggr)

確率母関数

簡単な式で表せない

積率母関数(モーメント母関数)

簡単な式で表せない

6. 幾何分布

定義

成功確率pのベルヌーイ試行を繰り返し実行し、初めて成功するまでの失敗回数をXとしたとき、Xは幾何分布に従う。
※初めて成功するまでの試行回数(失敗回数+1)と定義する場合もある

確率関数

 P(X=x)=p(1-p)^{x}

期待値

 E(X)=\dfrac{1-p}{p}

分散

 V(X)=\dfrac{1-p}{p^{2}}

確率母関数

 E(t^{X})=\dfrac{p}{1-t(1-p)}

積率母関数(モーメント母関数)

 E(t^{tX})=\dfrac{p}{1-e^{t}(1-p)}

7. 負の二項分布

定義

成功確率pのベルヌーイ試行を繰り返し実行し、r回成功するまでの失敗回数をXとしたとき、Xは負の二項分布に従う。※r=1のとき、幾何分布になります。

確率関数

 P(X=x)={}_{x+r-1} C_x p^{r}(1-p)^{x}

期待値

 E(X)=\dfrac{r(1-p)}{p}

分散

 V(X)=\dfrac{r(1-p)}{p^{2}}

確率母関数

 E(t^{X})=\biggl(\dfrac{p}{1-t(1-p)}\biggr) ^{r}

積率母関数(モーメント母関数)

 E(t^{tX})=\biggl(\dfrac{p}{1-e^{t}(1-p)} \biggr) ^{r}

導出方法

多くの参考書において、これらの導出は、数式の途中計算や公式等の前提知識の説明が省略されていることが多いため、理解に時間がかかると感じていました。
今回、自分用に整理したものを、動画にしてみました。途中の流れを細かく説明しています。必要に応じてご確認ください。
youtu.be

対策本

統計検定1級/準1級の対策本としては、以下の書籍があります。

こちらの書籍は、検定の範囲内のトピックが幅広く網羅されていますが、数式や解説が省略されている個所が多い印象です。あくまでも、出題範囲のトピックを確認するための用途として使用し、詳細の内容はインターネット等で確認し理解を深めるのが良いと思います。

まとめ

確率分布の期待値・分散・母関数について整理しました。また、導出方法についてまとめた動画および、対策本について紹介しました。
本記事が、統計検定の対策を進める上で、お役に立てば幸いです。